杖は歩行補助具として広く使われていますが、正しい持ち方を知らないと本来の効果を発揮できません。本記事では、安心して杖を使えるポイントとして基本的な3つのステップとして『長さの決め方』、『持ち方』、『持つ手の決め方』を解説します。
杖を持つ際には、適切な長さに調整することが重要ですがご自身やご家族に合う長さってわかりづらいですよね。「まずは基本となる杖の長さが知りたい!」そんな方におすすめの誰でもできる杖の長さの合わせ方を2つご紹介します。どちらの方法でも、だいたい同じ長さになりますので試しやすい方法でチャレンジください。
これからの購入や製品のカタログをお持ちの場合など、杖の長さやサイズがしっかりわかる方におすすめです。
杖の長さの計算方法:身長÷2+3cm
身長150cmの方が、最短サイズ75cm(調節2cm毎)の杖を使う場合
基本となる杖の長さは、150÷2+3cm = 78cm
杖の最短サイズで75cmなので、3cmに近い1穴分の長さ(77cm)に伸ばします。
杖の長さや調節穴の間隔は、製品に付属するタグやメーカーのカタログ、HPなどでも確認できますが、シナノでは下記のように『使用サイズ』を表記しています。
使用サイズ 75-90cm(2.5cm毎)
この場合の『使用サイズ』の見方は、製品の最短時が75cm、最大使用時が90cmかつ、そのサイズが2.5cm刻みで調整可能であることを表記しています。前出の身長150cmの方、必要サイズが78cmなら、下から2段目(75cm+2.5cm=77.5cm)を使用するのが基本のサイズレンジということになりますね。
実際の商品で見たい方はこちらから
【ネオクラシカル伸縮】
既にお使いの場合など、杖の長さやサイズがわからない場合におすすめです。
製品安全協会が定める基準書では、肘を自然な角度に曲げられる高さで、杖の長さを決めるように勧めています。
30~40度は杖を持った腕が、違和感の少ないもっとも自然な角度になった状態です
腰骨のちょうど出っ張ったあたりに長さが当たる方も多いようですので参考までに。
正しい杖の持ち方ではなく、我流でお使いになる方をお見掛けします。杖自体の機能や性能を生かすためにはどう持つのが良いのか解説していきます。
では問題です。
下記の図にて杖の正しい持ち方はA、Bのどちらでしょうか。
正解は B
Aのような持ち方では杖の安定性が発揮されずバランスを崩して転倒する恐れも。さらに、杖へ強い負荷をかけてしまうため破損の原因にもなり得ます。
Bのようにしっかりと握って持つのが正しい持ち方です。シナノの代名詞“スリムネック”はグリップ下のくびれ形状がポイント。握り込んだ人差し指と中指への負担を減らすから、手にやさしく使いやすい形状です。
杖を正しく持たないと、腰や肩に負担がかかり、バランスを崩すリスクがあります。例えば、杖の高さが合わないと姿勢が悪くなり、腰や膝に負担が。思わぬ怪我や故障に繋がることも。また、グリップの握り間違えや、力の入れ過ぎで手や指、腕の疲労や痛みを引き起こすこともあります。
杖を持つ手として正しいのはA、Bどちらでしょうか。
A:痛い足と同じ側の手
B:痛い足と反対側の手
正解は B 痛む部位と反対の手で持ちます。
杖を持つ手は、必ずしも利き手ではありません。
痛い側と反対の手で持って歩くことで、痛む足への荷重や負荷を減らすことができます。
痛む箇所が腰の中央や左右に寄らない場合は、利き手で使うのが使いやすくおすすめです。
杖を使った歩き方についてはこちらの記事もご覧ください。
杖が必要な方の症状は十人十色ですから使い方の正解を一概にお伝えすることは難しいですが、使い方に迷うときは、今記事でご紹介した長さや使い方を基準に、それぞれにあわせて調整して持って歩いてみましょう。歩きづらさを感じるようであれば、前後の調節穴に長さを変えご自身にあった長さへ調節していきます。
「よくわからない」「実際に杖を見ながら相談したい」そんなご希望の方はメーカー直営店 ステッキ工房シナノがおすすめ。
東京都内に2店舗、有楽町と吉祥寺で杖選びのプロがお持ちしています。
術後のリハビリや治療中の方は、症状にあった使い方がありますのでかかりつけのお医者さん、理学療法士さん、作業療法士さんに相談してみましょう。