杖の長さは、安全で快適な歩行のために非常に重要です。正しい長さの杖で歩くことは、歩行のサポートはもちろん怪我の予防にも役立ちます。この記事では、一般的な杖の長さの調整方法はもちろん、仕様長からの変更方法についてもご紹介します。
杖の長さを適切に設定することは、体重を分散させ、関節や腰への負担を軽減するのに役立ちます。長さが合っていない杖を使用すると、余計な負荷で体を痛めるだけでなく、歩行時に不安定さから転倒するリスクが高まります。ご自身の身長や体格、姿勢に合った長さで杖を使用することが大切です。短期間の間で見直す必要はありませんが、下記に当てはまる場合は杖の長さを確認してみましょう。
・長さの調節をしたことがない
・1年以上、長さを確認していない
・杖を使って歩きづらいと感じる
・その杖を購入したときの目的(痛む患部)が今は違う
杖の長さを選ぶ際には、以下の計算式がよく用いられます。
身長 × 0.5 + 2~3 センチ
また、背の曲がったお年寄り、円背の方の場合は、
1、無理なく伸ばせる範囲で、軽く背を伸ばします。
2、腕を下げ、肘を曲げやすい所まで曲げます。
3、その時の手から地面までの長さが良いとされています。
上記の計算式が絶対ではありませんし、身長や腕の長さ、身体の癖は人それぞれですので、
基準と考えていただいて疲れにくく、使いやすい長さでお使いください。
長さの合わせ方や基本的な使い方の詳細はこちらの記事も
杖を購入するときには、その杖の長さや、対応身長を意識して選ぶようにしましょう。
多くの杖で採用される方式が固定用のボタンピンを使った ラチェット(ピン)式 と呼ばれるもの。ボタンを押し込み、杖のシャフトをスライドさせることで長さを変えていくことができます。
実際の様子はこちらからご覧いただけます。
ラチェット式は、ボタンを押しての操作だから握力が弱いかたでも扱いやすいのがポイント。
ボタンの間隔は、2cm~2.5cm程度で全体で10~15cm程度の調節幅が一般的です。
※ラチェット式のラチェット(ratchet)の意味
本来は逆転止めの爪をつけた歯車のことを差しますが、ボタンを穴に引っ掛けて滑りを止める構造からその名前が用いられています。
頂きものの杖だったり、ご家族の形見の品、ご自身の体格の変化などでお持ちの杖の長さが合わないケースは多いもの。
伸縮する機能のある杖だとしても、設計上の長さを越えて調整はできません。
でも、どうしてもこの杖を使いたい、そんな方に下記の方法がおすすめです。
杖自体の長さそのものを短くしたい場合は 杖のカット がおすすめ。
下段シャフトを任意の長さに切り落とすことで長さを変えていきます。
カット方法について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
ホームセンターで売っているカッターやノコギリで対応可能ですが、自分で切ることが不安な方は製造メーカーに依頼しましょう。
シナノ直営店舗では購入時なら無料サービスで、後からなら500円(税別)でお受けしています。
ご自身に合った杖の長さについても相談してみたい方は、メーカー直営のステッキ工房をぜひご検討ください。
短く切りすぎてしまった杖なのであれば、正しい仕様長のシャフトが別途購入できないか、メーカーのアフターサポートへ問い合わせてみましょう。シナノでは、ステッキの下段シャフトの交換修理であれば2,000円~(1本)からお受けしています。
そうでない場合、基本的には使いたい杖の長さを製品の長さ以上に伸ばすことはできません。
ただ、長くしたい杖の長さが1~2cm程度なのであれば、先ゴムを背の高いタイプに変えてみるという手も。
例えばこちらの先ゴム ラクーン は一般的な先ゴムよりも2.5cmほど高さがありますので、その分を長く使用することが可能です。
杖の長さで2.5cm分は、身長に換算すると5cm程度になりますので、ある程度でしたらカバーすることができるでしょう。
正しい杖の長さを選ぶことは、安全で快適な歩行に不可欠です。適切な長さを調整する方法を知り、自分に合った杖を使いましょう。また、杖自体の長さを変えることで、より長く大切な杖を使うこともできるようになります。
メーカー公式のシナノオンラインストアでは、ほとんどの杖に対応身長を記載しています。
基本的にはその中に身長が収まっていれば、ご自身で調節して使用可能ですのでぜひ参考にしてみてください。